万一に備えるための〜保険の相続対策
万一に備えるための〜保険の相続対策
文書作成日:2023/08/05
祖父の死亡により孫が受け取る保険金

亡くなった祖父の孫である私と兄が受け取る死亡保険金は、相続でどのように扱われますか?

Q
今月のご相談

 先日亡くなった祖父は複数の生命保険に加入していました。死亡保険金の受取人が、孫である私と兄に指定されている契約があるとのことで、自分で保険金請求手続きをするよう父から書類を渡されました。
 祖父は会社を経営しており、会社が使用している土地や自宅の土地建物、上場株など総額3億円を超える資産を保有していました。会社は父が承継します。兄は将来の後継者と期待され、祖父と養子縁組をしていますが、私は別の業界で働いており、祖父の養子ではありません。祖母はすでに他界していますので、このたびの相続人は父と父の姉、孫養子の兄、の合計3人となります。
 私と兄が受け取る生命保険の契約内容は全く同じです。私と兄が受け取る死亡保険金は、相続ではどのように扱われるのでしょうか?

【契約内容】
保険種類 契約者(保険料負担者) 被保険者 保険金受取人 保険金額
一時払終身保険 祖父 祖父 1,000万円
1,000万円
A-1
ワンポイントアドバイス

 今回ご相談者様とお兄様が受け取る死亡保険金は、保険金受取人の固有の財産ではありますが、みなし相続財産として相続税の課税対象となります。ただし、ご相談者様とお兄様とでは取扱いが異なる点があります。詳細解説をご参照ください。

A-2
詳細解説
1.死亡保険金にかかる税金の取扱い

 被相続人が生前に掛けていた生命保険で被相続人の死亡により受け取る死亡保険金は、保険金受取人の固有の財産です。ただし、相続税の計算上では、“みなし相続財産”として、相続税の課税対象となります。ただしこの死亡保険金については、保険金受取人が相続人である場合は、相続税の非課税枠(500万円×法定相続人の数)が適用できます。

 ご相談のケースにおいては、以下のとおりです。

保険金受取人 相続人か否か 死亡保険金に対する相続税の非課税枠の適用可否
ご相談者様 相続人でない 適用不可
お兄様 相続人 適用可
2.相続税額の2割加算

 相続や遺贈などによって財産を取得した人が、被相続人の一親等の血族(代襲相続人となった孫(直系卑属)を含む)及び配偶者以外の人である場合には、その人の相続税額にその相続税額の2割に相当する金額が加算されます。この加算を「相続税額の2割加算」といいます。
 ご相談のケースでは、ご相談者様、お兄様ともに、相続税額の2割加算の対象になります。

 お兄様は相続人であるにもかかわらず、相続税が加算されることに違和感を覚えるかもしれません。これは、被相続人から子、子から孫と、孫に承継するまでに本来なら2回の相続でその都度課税が発生するところ、被相続人から一代飛ばして孫養子に直接資産を移すことで課税回数を1回減らす節税対策を封じる措置が講じられたものと考えられます。ただし、その者が代襲相続人である場合には、除きます。

 なお、受け取る死亡保険金は、みなし相続財産として相続税の対象にはなりますが、民法上はあくまでも受取人の固有の財産として扱われます。そのため、原則として相続財産に含まれず、遺産分割協議の対象になりません。よって、通常は遺留分の計算の基礎にも含まれません。(ただし、相続人との間で到底是認できない不公平など、特別な事情により争い事になるような場合には、遺留分の計算の基礎に含まれることもあります。)

 相続税の計算や遺産分割においては、死亡保険金を含めすべての財産を確認する必要があります。申告や納税など期限が決められていることも多いため、専門家に相談しながら整理して進めましょう。相続に関するご相談は、当事務所までお気軽にお問い合わせください。

<参考>
 国税庁HP「タックスアンサー No.4157 相続税額の2割加算

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