万一に備えるための〜保険の相続対策
万一に備えるための〜保険の相続対策
文書作成日:2018/1/05


 死亡保険金は相続税法上のみなし相続財産ですが、受取人固有の財産であり、分割対象の相続財産ではないことから、分割財産を超える額の代償金の交付は贈与となります。




 父が亡くなりました。遺産は、父名義の不動産(1億円)、相続人である次男が保険金受取人となっている生命保険(1億2000万円)、その他の財産8000万円です。
 相続人は長男(=今回の相談者)、次男、三男の三人です。
 相続人三人で分割協議をしたところ、次のようにまとまりそうです。

  •  @長男:父名義の不動産1億円

  •  A次男:死亡保険金1億2000万円、ここから三男に代償金2000万円を支払う

  •  B三男:その他の財産8000万円、次男からの代償金2000万円
以上のように遺産分割した場合、課税関係はどうなるのでしょうか?




 上記遺産分割の場合、次男から三男への2000万円の代償金は贈与税の課税対象となります。




 ここで注意したいのは、死亡保険金は「遺産」ではなく、保険金受取人の「固有の財産」だということです。
 今回の遺産分割案で次男は生命保険のみを受取ることになり、父親の遺産を相続で取得していません。
 この場合、次男から三男への2000万円は代償分割ではなく、贈与に該当します。
 仮に、次男が父親から何らかの遺産を取得していれば、その取得した遺産相当額は贈与には該当しません。例えば500万円の遺産を取得していた場合、贈与税の対象となる金額は、
  2000万円(次男の固有財産)-500万円(遺産)=1500万円
となります。

<参考判例/抜粋>

〜取得した保険金は相続財産か受取人固有の財産か〜 (昭和48年6月29日・最高裁)
  •  保険金受取人を相続人と指定した契約は、特段の事情がない限り、被保険者死亡のときにおけるその相続人たるべきもののための契約であり、その保険金請求権は、保険契約の効力発生と同時に相続人たるべき者の固有財産となり、被保険者の遺族から離脱したものと解すべきであることは、当裁判所の判例(昭和40年2月2日・最高裁判決)とするところであるから、本件保険契約についても、保険金請求権は、被相続人の固有財産に属するものといわなければならない。なお、本件保険契約が団体保険として締結されたものであっても、その法理に変わりはない。
〜受取人固有の財産を、相続した積極財産の額を超えて代償金として交付した場合、その差額は贈与となるか〜 (平成11年2月25日・東京地裁)
  •  代償債務のうち、・・・積極財産(※1)の額を超える部分は、現物をもってする分割に代える代償債務には該当せず、・・・新たに経済的利益を無償にて移転する趣旨でされたものというべきであり、・・・積極財産を超える部分については、・・・相続税の課税価格の算定に当たって、消極財産(※2)として控除すべきものではなく、・・・取得した代償債権の額は・・・贈与により取得したものというべき。
(※1)積極財産(権利)の例
 不動産、動産、貴金属類、現金、預貯金など、地上権、賃借権 などの権利
(※2)消極財産(義務)の例
 借金、連帯保証人債務、買掛金、ローン債務など


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